ミニチュアダックスの病気を考える 愛知県 一宮市の動物病院 ふるはし動物病院 | 経歴・学会発表

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ミニチュアダックスの病気を考える


ここ2~3年ミニチュアダックの飼育頭数が第1位で、当院でも最も多く診療する機会が多い犬種になってきました。繁殖頭数も多いため、遺伝的な病気に遭遇する機会も多々あり、我々獣医師もミニチュアダックス特有の病気については注目してきました。
 そこで今回は、ミニチュアダックスに多く見られる病気について特集したいと思います。

ミニチュアダックスのよく見られる病気ベス5
1. 椎間板ヘルニア
2. そけいヘルニア
3. アレルギー疾患
4. 無菌性結節性脂肪織炎
5. 進行性網膜萎縮


<椎間板ヘルニア>
 ミニチュアダックスといえば椎間板ヘルニアと言うくらい、多くのワンちゃんが発病します。当院でもここ1~2年で手術件数が2倍になりました。
 犬の椎間板ヘルニアはヒトと大きく違って、病変部が胸椎の12番目から腰椎の3番目までが一番多く(ヒトでは腰椎の4~5番目)、腰痛から腰が抜けてしまうものまで程度はさまざまです。手術適応症例は後足が立てなくなり、排尿ができない場合です。このような症例は全体の20%ぐらいで、はじめは腰痛と後足のふらつきから始まります。治療法は内科療法と外科療法があります。内科療法は腰痛などの症状の軽い症例で適応され、鎮痛剤やビタミン剤の投与や病変部への温熱療法が中心です。しかし大事なことは、サークルに入れ、走ったりジャンプをさせずに安静に保つことです。外科療法は後足が麻痺した場合や、内科療法に反応しない場合に行ないます。病変部位の特定のために脊髄造影検査を行い、その後、飛び出したヘルニアを摘出します。手術成績は当院においては麻痺の程度によりますが、歩行可能になるまで平均14~21日ぐらいで、回復率は80%くらいです。しかし中には、ヘルニアのひどい場合は回復が悪い症例もあります。最近はCTやMRIなどの画像診断がペット医療でも普及してきたため、椎間板ヘルニア以外に脊髄空洞症や線維性脊髄梗塞や脊髄腫瘍なども見つかる事もあります(以前は椎間板ヘルニアと誤診されていました)。

<そけいヘルニア>
 同じヘルニアでも内股の付け根の腹筋が弱く、隙間ができてそこから、腸や膀胱、脂肪などが皮下に出てくる病気です。特に症状はなく、去勢や避妊手術時に偶然発見されます。この病気は、左右両則にでる場合と、片側に出る場合がありなぜかミニチュアダックスは両側が多いような気がします。手術により隙間の開いた腹筋を縫合する事でほとんどが完治します。稀に腸が出たまま戻らなくなり壊死してしまう場合があるため注意が必要です

<アレルギー疾患>
 ミニチュアダックスは何故かワクチン接種後顔が腫れる症例が多いです。ワクチンの種類は関係ないといわれますが、8種、9種などのワクチンの方が5種などに比べると腫れる場合が多いです。原因はワクチン成分の抗原に対するアレルギー反応でⅠ型アレルギー(即時型アレルギー)といいます。症状はワクチン接種後30分から2時間ぐらいで顔面が痒くなり、目の周りや口、鼻周辺が腫れてきます。痒みや発赤を伴い中には微熱や嘔吐を起こす子もいます。ほとんどの場合4~6時間ぐらいで治まりますが稀にショック状態(アナフィラキシーショック)に陥ることがあります。抗ヒスタミン剤やステロイドホルモンの投与により治療できます。
また原因不明で突然顔が腫れたりするワンちゃんもいます。

<無菌性結節性脂肪織炎>
 この病気は、最近注目されてきた病気で、ミニチュアダックスで多く報告されています。難しい病名ですが、体のあちこちに小さな穴があきそこから膿が出てくる病気です。細菌が感染して起こるわけではなく、免疫の異常であると言われています。現在注目されているのは、避妊去勢手術で使われる縫合糸による異物反応の可能性があり、以前手術した周辺に病変が見られれば可能性が高いと思われます。当院でも3例この病気が見つかり、全て縫合糸の可能性が考えられました。縫合糸については、当院でも3週間ぐらいで体内に吸収される糸を使用していますが、どうやらどんな種類の糸でもおこるようです。治療は免疫抑制剤、ステロイドホルモンの投与や体内に残って糸の摘出です。稀に治療に反応が悪い症例がいます。そのため、手術時にはこのような病気が起こる可能性があることを覚えておいていただけると幸いです。

<進行性網膜萎縮>
 この病気は視力の低下や失明を起こす遺伝的な疾患で、目の奥にある網膜が徐々に萎縮してしまいます。他の犬種では4~5歳で発症して、6~7歳で視力を失いますが、ミニチュアダックスでは、1歳前後で発病して、2歳までには失明してしまいます。効果的な治療はありませんが、徐々に視力が低下するため見えないことに慣れてしまう子が多いと思われます。

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